大スフィンクスの側面にある縦の丸い侵食パターンが、科学的議論を引き起こした。
2004年8月20日 MSNBC 
 ースフィンクスを考え直すー



大スフィンクスの古さに関して従来と異なる理論を提唱するジョン・アンソニー・ウェストは、批判者との永年の戦いを経た今、両者が共同で作業することを望んでいる。

ウェスト − エジプトで最もよく知られる彫刻についての新たな見解を示した1993年のTVドキュメンタリー「スフィンクスのミステリー」の著者が、風雨で削られた石灰岩を調べ、そしてそれぞれの判断を示す地質学者達による調査団を組織しようとしている。

それは簡単には受け入れられない説得だった。ウェストと同僚、ボストン大学の地質学者ロバート・ショックがスフィンクスが多くの科学者によって受け入れられている4,500年前のものより何千年も前であり得ると主張したのは10年以上前であった。その時から、多くの厳しい言葉が行き交った。

批判者達は、ミステリアスなアトランティス型の文明が7,000年前から驚くべきことに38,000年前の間のいつかの時点でスフィンクスを彫ったかもしれないというウェストの主張をあざ笑った。一方ウェストは、主流派エジプト学を「枯葉剤と精神的に同じ物」と呼び、しばしばエジプト調査団に資金を供給する伝統を誇る協会を「ナショナル・ポルノグラフィック」と述べ、同様にやりかえした。

しかし今や、ウェストはやじることを止め、地質学調査に集中したいと考えている。

「その計画とは、一度もそこに行ったことがない純粋に独立した地質学者...12人ほどの地質学者に加えて何人かの他の分野の専門家による調査団を組み立てる事です」と、先週彼はインタビューで言いました。調査団は「多分4、5人の反対意見を持つ地質学者」を含み、スフィンクスとその周囲に対してそれぞれの見地から研究するでしょう。

問題は資金です。 「我々はこの一団を現地へ運び、そして2週間過ごさせるのに必要な250,000ドル(およそ2750万円)について話をしています」とウェストが言う。 「しかしどんな資金源からもそれを取り出すことはほとんど不可能なようだ」

もしそれらができないなら、ウェストには次の計画があると言う:「インターネットの上で皆さんに小さな貢献を要請することによって、我々はハワード・ディーン風にそれをするつもりです」

ウェストはこの自立した分析結果が、ショックが90年代初期に提案した地質学理論を裏付けすると期待している:スフィンクスとその囲いの壁に見られる丸い縦のひびが風による浸食でなく、雨によって形成されたはずであるという事を。ウェストとショックはスフィンクスがエジプトのギザ台地がもっと湿った場所であった時に遡らなくてはならないとの結論を唱え続けている。

ウェストは、この理論に対する反対論が「水という理由であれ砂という理由であれ、これらと関係を持たないというので明らかに不適切だ」と強く主張する。そしてショック理論が地質学者をスフィンクスが長期間の砂(あるいは小川)によって影響を受けたかどうかを再考するように仕向けたことは事実です。けれどもこの論争が一般に広がったものからは未だほど遠い。

「ショックが見たものについての違う説明があります。それは彼が言うように単純ではありません」とオンライン・フォーラムでスフィンクス理論を展開する文化考古学者アレックス・ボーデューは言う。ただし彼は正当なエジプト学者ではない。(けれども、この点ではウェストも同じだ。)

スフィンクスの風化パターンについての主流学説は「塩結晶のストレスにより引き起こされた剥落」あるいはエジプト学での慣用的な言い方ではSCrySIEという仰々しい名称となる。この考えは、湿気が石灰岩を通ってしみ出る時、塩の結晶を堆積させ、自然に縦のひびが発生するというものである。結晶が増大すると、それらは石を押す − そして結局は石の破片が表面から剥がれ落ちる。

「それは本質的に全ての議論を終わらせる」とボーデューが言う。 「別に良い説明があるとしても、なぜ全てをひっくり返し振り出しに戻って、スフィンクスがいつ作られたかという議論をまた始めるのでしょうか?」

ウェストはなぜかを説明しようとする。

「その解釈は非常に小さなことです、それは、我々が見ている浸食のパターンは作らないし、作り出せないことは全く明らかです。同様にそれはあれ程の大きさを説明することができません。新しい案、長いのや短いのがこれらの反論グループに加えられるたびに、我々は回答しなければなりません」とウェストは言う。

ウェストは”新たな調査”が状況を変えるのに役立つと期待する。もし地質学者調査団を集めることができるなら、この企てがエジプト考古学庁の長ザヒ・ハワスの検閲を通り抜けられると確信している。彼とハワスはスフィンクスに関してひどく論争したが、「驚くべき周辺状況の変化により、個人レベルでは非常に良い友人になった」とウェストは言う。

仮にウェストがこの地質学問題で思いどおりにできたと仮定すると、次の疑問が自然に湧いてくる:もしスフィンクスがファラオに先行するなら、では誰がそれを作ったのだろう? 「この問題は難しい、もちろんそれは面白い質問ですが」とウェストは言う。

それは南アフリカのズールー族、あるいはアトランティス人 、あるいは火星人と言うこともあり得るでしょうか? いくつかの提案は大変ばかげているように思われます。しかしウェストは全ての可能性を除外してしまうことを拒否する − 火星の顔との関連でさえ。 「それがまだ未解決の問題であると言う多くの人々がいます」と彼は言う。

今の処、ウェストは執筆、講義、旅行業・・・に加えてスフィンクスについてのこの新たな理論に取り組み続ける。

「いつか、誰かがそこに行き、一度だけそれを証明すれば、それで終わりです」続けて、「けれども、それが私の生涯の間であって欲しいのです。」と彼は言いました。

スフィンクスと大ピラミッドの情報に関しては、最新の「ピラミッドロボット」、さらにガーディアンのエジプトデイリー・グレイルをご覧ください。


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